身体計測
BMI値
要注意 | 基準範囲 | 要注意 | |
---|---|---|---|
体格指数 | 18.4以下(低体重) | 18.5~24.9 | 25.0以上(肥満) |
BMIは、体重(kg)を身長(m)で2回割った数値を言います。例をあげますと、身長160cm、体重50kgの方がいれば、50÷1.6÷1.6=19.5となり、BMIは19.5となります。
BMIは低すぎても、高すぎても健康には良くないとされており、日本人では概ね18~25くらいが良いとされています。
腹囲
基準範囲 | 異常 | |
---|---|---|
男性 | 84.9以下 | 85.0以上 |
女性 | 89.9以下 | 90.0以上 |
腹囲に関して、男性と女性で5cmの差がある事に、疑問を感じられる方も多いと思います。男性の方が、体が大きいのに、5cmも厳しいなんておかしい!と言われる男性の方のご意見も外来でお聞きいたします。
この5cmの差が生まれた原因について説明いたします。
まず、内臓脂肪と皮下脂肪について説明いたします。
内臓脂肪は、お腹の中、胃や腸の周りについている脂肪です。この脂肪は、たまりやすいですが、減りやすい脂肪です。体のエネルギーが不足した際に、エネルギー源として初めに利用される脂肪です。この内臓脂肪はアディポネクチンという物質を分泌し、これが高血圧、糖尿病、高脂血症などの原因になる事がわかっています。
対しまして、皮下脂肪は、一度たまると減りづらいのが特徴です。内臓脂肪に比べてアディポネクチンはあまり分泌しません。
男性は内臓脂肪がたまりやすく、女性は皮下脂肪がたまりやすいです。
女性の場合は、悪とされる内臓脂肪がたまっている際には、皮下脂肪もついている事が多く、その皮下脂肪の分は外して考えましょう、という事で5cm分の皮下脂肪は免除するために女性は基準値が大きくなっています。
考え方を変えれば、女性の方が痩せづらい体質であり、同じ運動量、食事制限をしても男性の方が女性に比べて痩せやすい、といえます。
血圧
基準範囲 | 要注意 | 異常 | |
---|---|---|---|
収縮期血圧 | 129以下 | 130~159 | 160以上 |
拡張期血圧 | 84以下 | 85~99 | 100以上 |
血圧につきましては、過去からの変遷がありますが、高いのも良くないですが、低すぎるのもやはり良くないです。
「標準的な健診・保険指導プログラム(令和6年度版)」という個性労働省が出している資料では、収縮期血圧160mmHg以上または拡張期血圧100mmHg以上ですぐに医療機関に受診をするよう記載があります。
収縮期血圧140-160mmHgまたは拡張期血圧90-100mmHgでは生活習慣を改善する努力をした上で、数値が改善しないなら医療機関の受診が推奨されています。
血液検査
肝臓系検査
総たんぱく
異常 | 要注意 | 基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|---|---|
5.9以下 | 6.0~6.4 | 6.5~8.0 | 8.1~9.0 | 9.1以上 |
総たんぱくは、体の中で作られる物質です。
低値の場合は、肝臓の病気や、腎臓の病気の可能性があり、他には栄養が足りていない時にも、低くでる事があります。
高値の場合は、水分が足りていない場合や、たんぱくを生成し過ぎてしまう血液の病気の可能性があります。
アルブミン
基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|
4.0以上 | 3.6~3.9 | 3.5以下 |
アルブミンは、100種類以上あるたんぱく質の中で、もっとも多くの割合占めるたんぱく質です(60%程度)。
アルブミンが足りなくなりますと、血管の中に水を保持できなくなり、血管の中から外へと水分が漏れ出て、むくみの原因となります。
低値の場合は、肝臓や腎臓の病気のほか、低栄養がうたわれます。
AST(GOT)とALT(GPT)
基準範囲 | 要注意 | 異常 | |
---|---|---|---|
AST(GOT) | 30以下 | 31~50 | 51以上 |
ALT(GPT) | 30以下 | 31~50 | 51以上 |
ASTは肝臓と心臓、筋肉に多く含まれており、ALTは肝臓に多く含まれる酵素です。
どちらも肝臓に障害がるあると上昇する酵素になります。どちらがより多く上がっているか、で病態をつかみます。
AST>ALTでは、肝硬変や、アルコール性肝炎などを考慮します。
AST<ALTでは、脂肪肝、急性肝炎などを考慮します。
γ-GTP
基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|
50以下 | 51~100 | 101以上 |
γ-GTPはたんぱく質を分解する酵素です。
肝臓の解毒作用に関わっており、体の中の不要なものを分解するのが仕事です。胆道から分泌されますが、肝臓の病気や、胆道系(胆石など)の病気で上昇します。
アルコール摂取で上昇することが知られておりますが、他では、脂肪肝でも上昇する事があります。
一部のお薬で上昇する事もありますが、アルコールやお薬による上昇は、ともに中止すれば2週間程度で正常化していきますので、それでも正常化しない場合は肝臓の疾患を考慮いたします。
腎臓系検査
総たんぱく
異常 | 要注意 | 基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|---|---|
5.9以下 | 6.0~6.4 | 6.5~8.0 | 8.1~9.0 | 9.1以上 |
総たんぱくは、体の中で作られる物質です。
低値の場合は、肝臓の病気や、腎臓の病気の可能性があり、他には栄養が足りていない時にも、低くでる事があります。
高値の場合は、水分が足りていない場合や、たんぱくを生成し過ぎてしまう血液の病気の可能性があります。
クレアチニン
基準範囲 | 要注意 | 異常 | |
---|---|---|---|
男性 | 1.00以下 | 1.01~1.29 | 1.30以上 |
女性 | 0.70以下 | 0.71~0.99 | 1.00以上 |
クレアチニンは、腎臓の機能を評価する数値となります。
筋肉に由来する酵素になりますので、筋肉量が多い方は高くなりやすくなります。
女性よりも男性の方が筋肉量が多く、ご高齢の方よりも若年者の方が筋肉量が多いので、高くなりやすい傾向があります。
血中のクレアチニンは腎臓から排出されますので、腎臓の機能が低下すると、排出されにくくなりますので、血液中のクレアチニンは上昇します。
eGFR(推算糸球体濾過量)
正常 | 軽度の機能低下 | 中等度の機能低下 | 高度の機能低下 | 末期腎不全 |
---|---|---|---|---|
90以上 | 60~89 | 30~59 | 15~29 | 15未満 |
腎臓の機能を正確に把握するためには、クレアチニンが一定の時間の中で、どの程度尿中に排出され、どの程度血液中に残るのかを調べる必要があります。
これには24時間の尿をためる必要があり、入院中では可能ですが、健康診断や外来では難しくなります。
そこで、クレアチニンの値、年齢、性別から、腎臓の機能を推定する方法が、推算糸球体濾過量になります。
あくまでも推定ではありますが、この数値が低い場合は、腎臓の機能が低下している可能性が高いと思われますので、必ず内科を受診するようにしてください。
心臓系検査
心臓(BNP)
基準範囲 | 要注意 | 異常 | |
---|---|---|---|
BNP | 18.4以下 | 18.5~40 | 41~ |
BNPは心臓から分泌されるホルモンです。
心臓に負担がかかりますと、このホルモンが分泌されて、腎臓に作用しておしっこを出すように働きかけます。
BNPが高い場合は、心不全をまず初めに疑います。また、BNPは腎臓から排出されるため、腎機能が低下してもBNPが高値になります。
脂質系検査
HDLコレステロール
要注意 | 基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|---|
29以下 | 30~39 | 40~119 | 120以上 |
HDLコレステロールは善玉コレステロールとも呼ばれており、血管に付着した余分なコレステロールを取り除き、肝臓に運んだ分解させる働きがあります。
遺伝的要因で数値が決まることが多いですが、喫煙、運動不足、肥満があると低くなり、運動をすることで上昇することがわかっています。
LDLコレステロール
要注意 | 基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|---|
59以下 | 60~119 | 120~179 | 180以上 |
LDLコレステロールは悪玉コレステロールとも呼ばれており、肝臓で作られたコレステロールを血管に運ぶ役割をしています。
血管へと運ばれたコレステロールは動脈硬化の原因となりますので、こちらの数値が高い場合は、下げるための治療が必要になります。
個々の患者様の状況によって、LDLコレステロールの目標値が異なりますので、一度内科を受診して相談をしてください。
中性脂肪(TG)
要注意 | 基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|---|
29以下 | 30~149 | 150~399 | 400以上 |
中性脂肪は体内にある脂肪の一種です。
体内で使われなかった脂肪は脂肪細胞や肝細胞に中性脂肪として蓄えられます。
中性脂肪は食べすぎ、飲みすぎ、肥満によって上昇し、動脈硬化の原因となります。
糖代謝系検査
血糖値
基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|
99以下 | 100~125 | 126以上 |
血糖値は、血液の中にある糖の値で、糖尿病で高くなります。他には膵臓の病気や、甲状腺の病気で異常値がでることがあります。
HbA1c
基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|
5.1以下 | 5.2~6.0 | 6.1以上 |
HbA1cは、血液のなかの赤血球に何%糖分が付着しているかの指標となります。
直近の食事には左右されず、過去1-2か月間の血糖の推移を反映します。
HbA1cが高ければ、糖尿病を疑います。
血球系検査
赤血球
異常 | 要注意 | 基準範囲 | 要注意 | 異常 | |
---|---|---|---|---|---|
男性 | 359以下 | 360~399 | 400~539 | 540~599 | 600以上 |
女性 | 329以下 | 330~359 | 360~489 | 490~549 | 550以上 |
赤血球数は、血液の中で、酸素を運び、二酸化炭素を回収する働きをしている細胞の数です。
血色素(Hb)(ヘモグロビン)
異常 | 要注意 | 基準範囲 | 要注意 | 異常 | |
---|---|---|---|---|---|
男性 | 11.9以下 | 12.0~13.0 | 13.1~16.6 | 16.7~17.9 | 18.0以上 |
女性 | 10.9以下 | 11.0~12.0 | 12.1~14.6 | 14.7~15.9 | 16.0以上 |
ヘモグロビンは、赤血球に含まれている、酸素と直接結合する部分になり、血液の中でのどのくらいあるかを重さで示した数値になります。
ヘマトクリット
異常 | 要注意 | 基準範囲 | 要注意 | 異常 | |
---|---|---|---|---|---|
男性 | 35.3以下 | 35.4~38.4 | 38.5~48.9 | 49.0~50.9 | 51.0以上 |
女性 | 32.3以下 | 32.4~35.4 | 35.5~43.9 | 44.0~47.9 | 48.0以上 |
ヘマトクリットは、血液の中での赤血球が占める割合(%)を示します。
MCV・MCH・MCHC
MCVの数値が高いと、ビタミン B12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血、過剰飲酒が疑われます。
低いと、鉄欠乏性貧血、慢性炎症にともなう貧血が疑われます。
異常 | 要注意 | 基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|---|---|
2.5以下 | 2.6~3.1 | 3.2~8.5 | 8.6~8.9 | 9.0以上 |
MCVは赤血球1つあたりの平均的な大きさを示します。
この値が小さければ、赤血球1つ1つが、小ぶりであるといえます
MCHは赤血球1つあたりの平均的なヘモグロビンの量を示します。
この値が小さければ、赤血球の中に含まれているヘモグロビンの量が少なく、赤血球1つあたりの酸素を運搬する能力が低いと考えられます。
MCHCは赤血球1つあたりの平均的なヘモグロビンの濃度を示します。
この値が小さければ、やはり赤血球の中に含まれているヘモグロビンの濃度が低く、赤血球1つあたりの酸素を運搬する能力は低くなります。
*1つ1つの赤血球が小さく、ヘモグロビンの量が少ないけれども、濃度としても問題はない、ということもあります。
いずれも赤血球に関わる値になり、少なければ貧血、多ければ多血という事になり、その原因を類推する際に、MCV、MCH、MCHCを指標に用いています。
白血球(WBC)
数値が高い場合は細菌感染症や身体のどこかに炎症・腫瘍にかかっている可能性があります。
反対に数値が低い場合はウィルス感染症、薬物アレルギー、再生不良性貧血などが疑われます。
異常 | 要注意 | 基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|---|---|
2.5以下 | 2.6~3.1 | 3.2~8.5 | 8.6~8.9 | 9.0以上 |
白血球は、体の中の自衛隊のような細胞です。細菌やウイルスなど自分以外のものが体の中に侵入してきた際に、活躍します。また、体の中で日々生まれている癌細胞を消してくれているのも白血球の働きになります。
基準値より高い場合は、細菌感染、がん、白血病などが考えられ、低い場合はウイルス感染、骨髄の病気などを考えます。
血小板数(PLT)
数値が高い場合は血小板血症、鉄欠乏性貧血などが疑われ、低い場合は再生不良性貧血などの骨髄での生産の低下などが考えられます。
異常 | 要注意 | 基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|---|---|
9.9以下 | 10.0~12.9 | 13.0~34.9 | 35.0~39.9 | 40.0以上 |
血小板は、体の中で傷ついた血管を緊急で修復する細胞です。
私たちがケガをして血が出ても、押さえていれば血が止まりますが、その際に血小板が中心的な役目を担っています。
血小板の数が多い場合は、貧血、白血病、血小板増多症が考えられ、少ない場合は血小板減少性紫斑病という病気や、肝硬変などが考えられます。
尿検査
糖
基準値 | 再検査 | 異常 |
---|---|---|
陰性(-) | (±)(+) | (2+以上) |
健常者の尿には糖が含まれません。尿に糖が出ている場合は、糖尿病をまず初めに疑います。
他、甲状腺の病気でも尿に糖がでる事があります。
また、腎性糖尿といって、糖尿病ではなく、血糖が高くないのにも関わらず、尿に糖がでてしまう事があります。
こちらは、若い人に比較的みられますが、体への影響がないことから、特に治療の必要はありません。
たんぱく
基準値 | 再検査 | 異常 |
---|---|---|
陰性(-) | (±)(+) | (2+以上) |
たんぱくが尿に出る場合は、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎といった、腎臓の病気である可能性があります。
腎臓の病気がない方でも、発熱や疲労で出ることもあり、健康診断で陽性になった方でも再検査で問題がないということもあります。
潜血
基準値 | 再検査 | 異常 |
---|---|---|
陰性(-) | (±)(+) | (2+以上) |
腎臓に問題がある場合、尿管に問題がある場合、膀胱に問題がある場合のいずれでも尿に血液がでる事があります。
陽性になった方は、再検査でどこからの血液なのかを調べていきます。
尿酸(UA)
要注意 | 基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|---|
2.0以下 | 2.1~7.0 | 7.1~8.9 | 9.0以上 |
尿酸値は、体の中のプリン体という物質が代謝されてできた燃えカスのような物質です。
プリン体は体の中のエネルギー源であったり、遺伝情報の元になったりするものです。
尿酸値が高くなる原因は、プリン体の摂取量が多い(飲酒や食事量が多い場合)、もしくは排泄量が低下した(腎臓の機能が低下した状態)、あるいはその両方が考えられます。
尿酸値が高くなりますと、関節内に尿酸結晶がたまりそれを体の中の白血球という細胞が攻撃する事で、痛風を発症します。
痛風は風がふいただけでも痛い、というだけあって、激痛を引き起こします。健康診断で指摘をされた場合は、内科を受診してください。